パソナテックは去る2015年10月11日、岐阜県大垣市のポストピアジャパンセンターを中心とした複数施設を利用したイベント「POSTFES」を開催した。

 キーフレーズは「テクノロジーと、音楽で、未来を届ける」。パソナテックはテクノロジー系の人材派遣業を展開する一方で、テクノロジーの進化、環境や価値観の多様化をとらえ、働き方や生き方、ものづくりの変化を地方等で提唱し続けてきている。

 「POSTFES」はまさにその集大成。会場では、IoT技術の展示会や大垣市と関係がありつつ世界で活躍するスピーカーを中心としたビジネスカンファレンス、そしてテクノロジーの関係を明確にした斬新なライブパフォーマンスなどで盛り沢山の内容が同日展開をされている。全てを見切れないボリュームのこのイベントに参加してきたの取り急ぎ簡単にレポートしたい。

画像: 「ミュージック」のメイン会場であり一部IoT展示も展開されるソフトピアジャパンセンターのホール。岐阜にゆかりのある織田信長像が存在感をもって立つ。

「ミュージック」のメイン会場であり一部IoT展示も展開されるソフトピアジャパンセンターのホール。岐阜にゆかりのある織田信長像が存在感をもって立つ。

 大垣市は、中部地方 岐阜県の第二の人口(15万9624人)を誇る都市。名古屋から特別快速で40分程揺られると到着する立地。会場となったソフトピアジャパンは、物作りを中心に成長してきた中部地域において、ソフトウェア分野での情報集約や企業誘致を行うものとして1996年 6月に設立されたもの。

 ソフトピアジャパンは、メイン会場のセンタービル以外に、大垣市役所の情報工房や、複数の企業が誘致されている。センタービルには、 ものづくり系で有名な情報科学芸術大学大学院(IAMAS)が入居している。こうした大垣市とパソナテックの地方創生の取り組みを理解するだけでも、本イベントに参加した意義があると言える。

ものづくりとテクノロジーの接点

 このような背景もあってか、「POSTFES」の一つの目玉であるIoTビジネス展示会は幅広く、かつ日本の最前線と言っても過言ではない出展者陣で形成されている。

画像: サイバーエージェントクラウドファンディング「マクアケ(Makuake)」のブース。多数のモノ系がこのサービスから巣立っていた。IAMASも関係する「光升」もマクアケから。 www.ca-crowdfunding.com

サイバーエージェントクラウドファンディング「マクアケ(Makuake)」のブース。多数のモノ系がこのサービスから巣立っていた。IAMASも関係する「光升」もマクアケから。

www.ca-crowdfunding.com

 都心などで展開されるイベントとは違い印象深かったのは、より生活者目線のプロダクトや地場企業のプロダクトがバランス良く展示されている点。IAMAS出身企業も多く、地場発とはいえ、日本全国や世界にスケールしうる個性を持ち合わせていると感じる。

大垣発 日本最先端ディスカッション 

 「POSTFES」では、ほぼ終日、カンファレンスイベントも併催されていたが、こちらの深さや密度は特筆すべきレベルの高さだったといえるだろう。

画像: 福岡市から世界をかけめぐる「しくみデザイン」の代表中村俊介氏によるKaguraのデモ。 techwave.jp

福岡市から世界をかけめぐる「しくみデザイン」の代表中村俊介氏によるKaguraのデモ。

techwave.jp

 テーマは「テクノロジーxクリエイター」「テクノロジー×未来のものづくり」「テクノロジーxエンターテインメント」「テクノロジーx音(楽)」で、株式会社しくみデザイン 代表取締役 中村俊介 氏、PARTY クリエイティブディレクター 中村洋基 氏、MP3楽曲レーベル10周年で世界で注目されるMaltine Records 主宰 tomad 氏、いきなり25種類の家電をリリースしたUPQ 中澤優子 氏、IAMAS産業文化センター教授 小林茂 氏、一人家電メーカーと呼ばれたビーサイズ株式会社 代表 八木啓太 氏、IAMAS出身でPerfumeのライブパフォーマンスなどで有名なライゾマティクス ディレクター 真鍋大度 氏らが登壇。

 カンファレンスイベントといえば、話のプロットが始めから見えていたり、話が内輪過ぎて来場者が置いてきぼりになるケースも散見されるが、「POSTFESって何だろう?」というところを原点に、登壇者と会場が一体となり話が深まっていったのが興味深い。

 詳細については別の記事でお伝えしたい。

音楽とテクノロジー、そしてものづくりとの融合

 後半は、センタービルでDJやバンドによる有料のライブパフォーマンスイベントが深夜まで実施された。

 こちらも、ライブ会場でありながら、IoTのデモンストレーションが併設されており、音楽とテクノロジー、ものとテクノロジーの関係性を考えさせられる構成。

 最後のアフターパーティでは、情報科学芸術大学院大学にゆかりのある4人のVJや、真鍋大度さんのDJパフォーマンスが行われた。

画像: 人から人へと光が伝搬される腕時計型デバイス「リップルライト」。RBGフルカラーで1677万の発色が可能。 www.ripple-light.com

人から人へと光が伝搬される腕時計型デバイス「リップルライト」。RBGフルカラーで1677万の発色が可能。

www.ripple-light.com
画像: 篠崎愛さんやSILVAさんなど多数の有名アーティストが駆けつけた。写真は中塚武さんらが出演するステージ。 www.nakatsukatakeshi.com

篠崎愛さんやSILVAさんなど多数の有名アーティストが駆けつけた。写真は中塚武さんらが出演するステージ。

www.nakatsukatakeshi.com
画像: 「POSTFES」ライブ専用アプリも提供された。ステージのパフォーマンスとシンクロして画面が変化する。 www.postfes.jp

「POSTFES」ライブ専用アプリも提供された。ステージのパフォーマンスとシンクロして画面が変化する。

www.postfes.jp

パソナテックが日本版SXSWを手がける理由

 広島尾道市でのハッカソンや、大阪府でのメディア連携ハッカソン、この地、岐阜では地方創生フェスなどを今まで幅広くやってきたパソナテック。

 なぜ、今回、音楽やエンターテインメント、ものづくりとの融合をこうしたイベントで実現しようとしたのだろうか。仕掛け人で地方創生にかける株式会社パソナテック執行役員 粟生万琴 氏にきいた。

画像: パソナテックが日本版SXSWを手がける理由

 「私たちのメンバーで、アメリカで開催されている音楽の祭典SXSWの調査をしにいきました。その賑わいや可能性を強く実感したんです。そこで、ビジネス・テクノロジー・ミュージックの3つをかけ合わせることで生まれる新たな未来を創り出すアイデア・技術・好奇心を、岐阜県大垣市から仕掛けようと考えました」。

 お祭としてのSXSW日本版を狙う人は多いが、「POSTFES」は地方創生にかける理念と、長年詰みあげた実績努力の上に成り立っている。今後、どういった化学反応があるかまだ見えないが、この世界観はいずれ全国に浸透するにつれ、社会における変容の契機ともたらすのかもしれない。

蛇足:僕はこう思ったッス maskin 栃木県宇都宮市に住んでいる筆者は、当日早朝520キロの長旅を経て現地に入った。地方都市から東京、そしてまた地方都市へと移動する中で、複雑な思いでイベントに参加した。

IT系イベントは、いわゆる「意識高い系」(意欲や情報感度が高い人)だけで構成される傾向があるが「POSTFES」は、そういう意味で幅広い層が参加していたことに大きな意義があると感じた。

特に地方創生というと、大都市から大企業や有名人がやってきて盛り上げて去りゆくモデルが古くから何度もくりかえされてきた。もちろん、地域に風がなびけばプラスの面もあるのだが、バブル期前後は、すべて刈り取られるケースもあり地方には以前として警戒する声が根強く残る。

「POSTFES」の意義は、この地域から世界にはばたく人材を育成し、かつほかの地域の人材や文化、テクノロジーを巻き込み創生のサイクルを生み出そうとしている点にあると思う。地方と日本、海外で活動する自分にとっても勇気付けられる内容だった。(栃木県宇都宮市でもやっていきたい)

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